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2010-01-27

小春の日


思い出した。

覚えていた。


家を出て、小豆色の阪急電車神戸線に乗る。
武庫之荘を出て、色んな匂いのする十三で乗り換える。

今でも旅行気分になるボックス席のある京都線の特急に乗り込むと、
小豆色の電車はレトロな緑のシートにわたしを乗せ、
大阪と京都の間の田舎な雰囲気の街をいくつも通り過ぎ、
終点、河原町へと運んでくれる。

今日はとても天気がよくて、真っ青な空に、白い雲の筋が幾千にも重なっていて、
わたしは10冊の本とノートパソコンの入った重い重い鞄を手に、ちょっと歩こうと思った。

四条大橋から、鴨川のいつもはあまり歩かない西側の河原におりる。
平日のお昼間、冬だからかな、河原にいる人は驚くほど少ない。

空を見ながら、きらきら光る鴨川の水面を見ながら、聞きながら、
とりあえず三条まで歩く。

あんまり歩かない西側の河原の地面は、黄土色とだいだいの間の色をしてた。

自分の影が真ん前に見えて、その影が映る地面は、
土から、石畳なのか土なのかよく分からないものになって、
そして、三条に着く。

犬を連れた人と工事のおじさんを見て、人は知らない人どうしでも微笑みを交わすことを思い出した。
しらさぎがよたよた歩きながら見せる足の裏は、驚くほど黄色いことも思い出した。
空にシルエットを映す黒い鳥と、ちょっとぶかっこうな鴨と、鳩と、
いっぱいの鳥が鴨川にいることも思い出した。

先斗町の歌舞練場の「鴨川おどり」の文字を見ながら、南を振り返る。
逆光で、今見てきた風景が違うように見えた。

三条で一度地上に上がり、三条ローソンの前のベンチに座ると、
今は葉のないしだれ柳の間から、京阪三条の「三条」って大きな字が見える。

ここで、何回酔っぱらったんだろう、と思う。

やっぱり、バスには乗らず学校まで歩こう、と鴨川にもう一度おりる。

鴨川の中に、なぜかオレンジのクレーン車が停まってる。
あぁ、これが無かったら絵になるのに、と思いながら、
今あるものの全てがまとまって、この情景を創っていて、
無くてもいいものなんて無いと気づく。

そのまま鴨川沿いを北上する。

赤ちゃんがこの世に望まれて生まれてくることを思い出し、
スーツを着たサラリーマンは働くということを思い出し、
人は老いて、車いすに乗ることを思い出した。

ふと東側の河原を見ると、たくさんの自転車が走っている。
舗装された東側の河原は、こちら側より、自転車で走りやすい。

対岸から見ると、自転車は真横から見えて、
きれいに私の視界を左から右へとすーっと通り過ぎ、やがて消える。

ipodを持っていなくて良かった。
鳥の鳴き声、ひとのしゃべる音、水のせせらぎ、車の音、
すべてが一緒になってわたしの耳に入り、消えて行く。
わたしが心に留めなければ、二度と戻ってこない音。

携帯電話をポケットに入れていると、驚くほど色んなものが見え、
色んな音が聞こえる。
何で忘れていたんだろう。

ホテルフジタが見える。結局一度も入ったこがない。

大文字山が、真東より少し北に見えてきたところで橋を登ると、
そこに甘いものが苦手なわたしがおいしいと思うチーズケーキを出す、
花屋兼カフェがあることを思い出した。

でも、わたしはそのまま鴨川を後にし、丸太大橋を渡る。
思い出のたくさんつまった丸太町通。
電線が、青い空を何個にも分けて、なんだかわたしはそれぞれの面積を計算したくなる。

川端通を渡る。
すぐそこの2階に、昔好きだった洋書屋さんがある。
今日は看板が出てないからお休み。
2回生の時、この洋書屋さんの企画した、「誘惑のススメ」っていう講義(理論編)とパーティー(実践編)に参加したな、とほほが緩む。

そして、その横には誰が買いに来るのかさっぱり分からない、日用品屋さんがある。
本当に時代錯誤な店作りだ。

もう少し歩くと、右手にわたしの思い出のつまったマンションが見える。
わたしが下宿生活を送ったマンション。

その3軒向こうには、優佳のマンションがあり、その1階にはDと書いたバーがある。
ここで、好きでもないウィスキーを飲んだことを思い出す。
19才の頃だ。

ギャラリーの手前、タバコ屋さんの角を北に曲がると、
京大病院のどん詰まりが見える。
遅刻癖のあるわたしは、ここをいつも全速力で自転車を漕いだ。
忘れ癖があるわたしは、ここを必死に忘れ物をとりに戻った。

どん詰まりを右に曲がると、京大病院の前の少しひらけた場所から、
大文字がきれいに見える。
冬の色をしている。
春の、夏の、秋の、冬の大文字山の色を思い出した。
この山が春の色になる頃、わたしはもう京都にはいない。

京大病院を左折し、東大路を北上すると、もう大学エリア。
吉田南キャンパスの入り口から大学に入り、
テニスコートにいるはずのない友達の姿を探して、
図書館へと向かう。


とても幸せな日。

いろんなことを思い出した。

いろんなことを覚えていた。

何気ない今日を、どうにか心にとどめたくて、

でも、記憶力の悪いわたしは、きっとまた忘れてしまう。

そうしたら、また歩きたい。

好奇心のかたまりで新しいもの好きなわたしは知らない場所に行きたがるけど、

知っている場所も同じくらい面白い。

そんなことを感じた、今日でした。


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つれづれなるまゝに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。

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